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永眠を捨てた青少年
第3章 3
 しずはベッドに上がって、小霧の体を抱きしめるように添い寝した。
 小霧の体は——すっかり小さくなっている。

「やっと悟りました……僕は……死ねないからこそ、失いたくないものなんて邪魔だと思っていた……でも、逆だった」
 しずが静かにうなずく。

「心の底から……本心から失いたくない存在がなかったから……そんなものを捨て去ったから……死ねなかったんだ」
 しずはだまって小霧の言葉を聞きながら、頬を小霧の弱々しい頬に当てる。

「あの場所で……斬ってしまったあなたを抱きしめ続けたあの時から……僕の体は時間を前に進めることをやめたんだ。何があっても体はあの瞬間に戻ろうとする……けれど、しず……あなたを……失いたくない存在を取り戻したから……僕の体も時間を取り戻そうとしてる」

 小霧は、震える手でしずの頭に手を乗せた。
「みんなに……置いてきぼりにされ続けてきた僕は……やっと、大切な人に看取ってもらえる……幸せなことなんです」

 そこでしばらく、小霧は苦しそうに呼吸をしながらだまっていた。
 しずの目から、また涙があふれ出てくる。
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