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永眠を捨てた青少年
第3章 3
 いつの間にか、ベッドの周囲は四方すべてがどこまでも続く真っ白な平面と、澄んだ青い空に覆われていた。
 地平線ははっきりとせず、遠くの方は青と白がうっすら重なり合っている。

「小霧さま……ここ……どこでしょう……?」
 ベッド以外には、屋敷の壁どころか物も人の姿も、一切何も、ない。
 ひたすら青く、白く、美しい。

 小霧としずは、抱き合ったまま上半身を起こした。
 視界の届く限り、どこまでもどこまでも、白と青の光景だけがひたすら広がっている。

 二人は、お互いの姿を見合った。
 小霧もしずも一糸まとわぬまま——あの頃の姿に戻っている。

 お互い熱い想いを胸に、茶屋で楽しい時を過ごした、あの頃の姿に。
 小霧は老いる前の——しずは傷痕ひとつない澄んだ白い肌の——江戸で過ごしていた頃の元の体に。

 しばらくの間、小霧としずは両手の手のひらを合わせてつないで、じっとお互いを見つめ合っていた。

「私の体の方が歳下に戻っちゃいましたね、小霧さまっ」
 しずがほほ笑んで小霧に抱きついた。
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