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永眠を捨てた青少年
第1章 1
「では、ちょっと失礼しますね……あまり失礼とは思ってませんが」
サトウはシズクの裸体をくるむようにバスローブで覆いながら上に向かせて、彼女の背中と両足のひざ裏に腕を回し軽々と抱き上げた。
線の細い体つきなのに、サトウの肌は鋼のようだった。鍛え上げられた筋肉に力強さを感じる。花火の日に見た胸板を思い出す。
シズクの身体の内側に、温かな安心感がふわりと広がった。
「いいですかシズクさん、僕は今からおそらく妙なことを言ったり、とんでもない行動を取ったりしますが、この屋敷から無事に誘拐されるまではだまっていてください……もっとも今は、声を出す元気はないでしょうけど」
サトウはシズクを抱えたまま、入り口へと歩き部屋の外へ出た。
部屋のすぐ外は細い階段になっている。地下にあるこの部屋への通路は、シズクの父の部屋からのみ下りられるこの階段しかない。
階段も上下左右すべての面がコンクリートで照明は薄暗かった。途中で小さな踊り場があって何度か折り返して登るようになっている。
「ひとつ訂正しておきます。さっき言った、死んでも生き返るというのはウソです。僕は『死ねない』だけなんです」
サトウはそう言いながら軽快な足取りでどんどん階段を登っていく。
やがて階段は終わり、ごく短い廊下の向こうに木製の頑丈な扉が控えている。
サトウはシズクの裸体をくるむようにバスローブで覆いながら上に向かせて、彼女の背中と両足のひざ裏に腕を回し軽々と抱き上げた。
線の細い体つきなのに、サトウの肌は鋼のようだった。鍛え上げられた筋肉に力強さを感じる。花火の日に見た胸板を思い出す。
シズクの身体の内側に、温かな安心感がふわりと広がった。
「いいですかシズクさん、僕は今からおそらく妙なことを言ったり、とんでもない行動を取ったりしますが、この屋敷から無事に誘拐されるまではだまっていてください……もっとも今は、声を出す元気はないでしょうけど」
サトウはシズクを抱えたまま、入り口へと歩き部屋の外へ出た。
部屋のすぐ外は細い階段になっている。地下にあるこの部屋への通路は、シズクの父の部屋からのみ下りられるこの階段しかない。
階段も上下左右すべての面がコンクリートで照明は薄暗かった。途中で小さな踊り場があって何度か折り返して登るようになっている。
「ひとつ訂正しておきます。さっき言った、死んでも生き返るというのはウソです。僕は『死ねない』だけなんです」
サトウはそう言いながら軽快な足取りでどんどん階段を登っていく。
やがて階段は終わり、ごく短い廊下の向こうに木製の頑丈な扉が控えている。