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永眠を捨てた青少年
第1章 1
「ちょっと辛いかもしれませんが歩いてください。僕が支えますから」
サトウはシズクの胸の下を片腕で抱えて引っ張り上げながら、ゆっくりと歩かせて部屋の出口の両開き扉の方へと向かう。
「……やっぱり……お侍さんの……子孫なんです、ね」
シズクが懸命に笑顔を作り、力を振りしぼったような声で言う。
「……怖くないんですか? 僕はあなたの目の前で二人殺したんですよ?」
シズクはゆっくり首を横に振った。
「もっとも反社相手に手加減する気はさらさらないんですけどね」
サトウの表情は相変わらず優しげだった。が——
目だけは変わっていた。
凍るような鋭い光を帯びている。
やがてサトウは扉を開け、シズクを連れたまま部屋の外へ出た。
部屋のすぐ外には左右と正面に廊下があった。廊下には照明が灯っている。正面の廊下の突き当りには大きなガラス窓があり、バルコニーに続いているが、外は暗くてよく見えない。
左右の廊下から、人が駆けてくる音がする。
右からは二人、左からは一人。黒スーツ男が三人とも拳銃をこちらに構えながら走ってくる。
サトウはシズクの胸の下を片腕で抱えて引っ張り上げながら、ゆっくりと歩かせて部屋の出口の両開き扉の方へと向かう。
「……やっぱり……お侍さんの……子孫なんです、ね」
シズクが懸命に笑顔を作り、力を振りしぼったような声で言う。
「……怖くないんですか? 僕はあなたの目の前で二人殺したんですよ?」
シズクはゆっくり首を横に振った。
「もっとも反社相手に手加減する気はさらさらないんですけどね」
サトウの表情は相変わらず優しげだった。が——
目だけは変わっていた。
凍るような鋭い光を帯びている。
やがてサトウは扉を開け、シズクを連れたまま部屋の外へ出た。
部屋のすぐ外には左右と正面に廊下があった。廊下には照明が灯っている。正面の廊下の突き当りには大きなガラス窓があり、バルコニーに続いているが、外は暗くてよく見えない。
左右の廊下から、人が駆けてくる音がする。
右からは二人、左からは一人。黒スーツ男が三人とも拳銃をこちらに構えながら走ってくる。