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永眠を捨てた青少年
第1章 1
サトウはシズクを抱えたまま、すばやく背中をバルコニーに続く廊下の方に向けると、シズクと一緒にゆっくりと後ろ向きに歩き始めた。
黒スーツの一人がじりっと片足を前に動かした。
サトウがまた声を上げる。
「『動くな』って言葉の意味をご存じない? 今そこでスマホでググってもいいですよ、それくらいなら動いてもいいです」
サトウは後ろ向きにゆっくり後ずさる。片腕はしっかりとシズクを支えるように力を込めている。刀はシズクの首に横向きに軽く当てられていて、本当に首を斬る気でいるとは感じない。
その時、シズクは何か小さな物がひとつ、廊下のカーペットの上に転がるのを目にした。
弾丸のようだ。血で赤く染まっている。
今のはサトウの体が、肩に埋まっていた弾丸を勝手に外に押し出したということだろうか?
『死ねない』——シズクの頭にその言葉がよぎる。
——やっぱり、そうなんだ……
シズクの目が潤み出した。が、今は涙をこらえた。
廊下には部屋に面した扉などは一切なく、壁しかない。そして突き当りの窓からバルコニーに出られはするが、他の場所へ続く通路などは一切ない。ここは三階だ。袋小路になってしまう。
黒スーツの一人がじりっと片足を前に動かした。
サトウがまた声を上げる。
「『動くな』って言葉の意味をご存じない? 今そこでスマホでググってもいいですよ、それくらいなら動いてもいいです」
サトウは後ろ向きにゆっくり後ずさる。片腕はしっかりとシズクを支えるように力を込めている。刀はシズクの首に横向きに軽く当てられていて、本当に首を斬る気でいるとは感じない。
その時、シズクは何か小さな物がひとつ、廊下のカーペットの上に転がるのを目にした。
弾丸のようだ。血で赤く染まっている。
今のはサトウの体が、肩に埋まっていた弾丸を勝手に外に押し出したということだろうか?
『死ねない』——シズクの頭にその言葉がよぎる。
——やっぱり、そうなんだ……
シズクの目が潤み出した。が、今は涙をこらえた。
廊下には部屋に面した扉などは一切なく、壁しかない。そして突き当りの窓からバルコニーに出られはするが、他の場所へ続く通路などは一切ない。ここは三階だ。袋小路になってしまう。