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第1章 １

「もしかして、あなたがたは自分の家で勝手なことされると、楽しくなれる人たちですか？」
　浴衣の若い男は再び口を開いた。その声と口調は、顔の印象とは違って芯の強さがある。

　金髪男がその男性に詰め寄って言った。
「あーあ、いかにもやられキャラってのが出てきたなー」
「あなた方が、ですよね？」
　浴衣の男が顔色ひとつ変えずに返した。
「はあ？　何言ってんのこのガキ」
「はかなげな女性ひとりをおじさん手前の三人が取り囲んで、クソみたいなセリフでネチネチ言い寄っているなんて、たいていのストーリーだと直後に現れる正義の味方に倒されるフラグ満載のやられキャラですよね？」

「よく喋るボーヤだな」
　金髪男は目の前の浴衣の男の胸ぐらをつかもうとした——が、その手は空振りした。金髪男の顔に一瞬焦りが浮かぶ。
　浴衣の男の体はいつの間にか金髪男の手の届かない位置まで下がっていた。

　スキンヘッドの男がゆっくりと前に出てきた。三人の中で一番背が高く大柄で、威圧感はかなりある。浴衣の男の顔をにらみつけて言う。