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永眠を捨てた青少年
第1章 1

    ※  ※  ※

 シズクがこの洋館に連れてこられて翌々日。
 今日はずっと晴天で部屋にたっぷりの光が入ってくる。

 あの晩からサトウとは一度も顔をあわせていない。体調を気づかってくれているのだろうか。
 体の傷もだいぶ落ち着いた。ここで塗ってもらう薬も、服用する痛み止めもよく効いた。
 自宅でも父が与えてくれるが、それより効能が高いのか。

 こんな傷や痛みには——慣れている。
 ある程度治まったら、また同じ目に遭わせられる繰り返しの日々——。
 そして意思に反して身体が示す反応——。

 サトウはコンクリートの地下室でシズクの姿を見たとき、どう思っただろうか?
 彼は——そんな風に思うはずはない——
 私の考えが正しければ——
 それでも、恥ずかしさと、悔しさと——申し訳ない気持ちはある。

 シズクはベッドに横になったまま、胸をかきむしられる思いに頭が混乱してきた。
 息苦しい。
 また——過呼吸か。
 周囲の視界がだんだんと白くぼやけてくる。
 意識が遠のきそうになる。
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