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永眠を捨てた青少年
第1章 1
 シズクはほんの少し、くすりと笑った。
「おもしろいですか?」
 サトウがトレイの上に一緒に乗っていたティーポットから、二つのティーカップにほうじ茶を注ぎながら言った。

「いえ……きっと、みたらし団子はどうしてこんなお皿に乗せられているのだろう? と思っているんじゃないかって」
「皿の方も思ってるかもしれませんね、私は何を乗せられてるんだろう? って」
 サトウはほほ笑んでみたらし団子を一本手に取り、食べ始めた。

「シズクさんも温かいうちにどうぞ」
「あの……私を誘拐して、これからどうされるつもりですか……?」
「いきなりですね。僕の遊び相手にちょうどいいと思っただけです」
「父への……仕返しのついでに?」
「シズクさんの顔が僕の好みですので」
「顔だけ……ですか?」
「そうですよ」
「私、あなたに遊ばれるんですか……?」
「少なくとも、ご自宅には帰すつもりはありませんので、首をくくろうなんて気は起きないんじゃないですかね」
 サトウは次々とみたらし団子を平らげていく。
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