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永眠を捨てた青少年
第2章 2
戸口はいつもお菊が前もって開けておいてくれるが、小霧が来る際はここに入ったあと小霧自身で閂をかけるようにしている。
一応の裏庭ではあるが、二畳程度の、庭と言っていいのかどうかという狭さである。
それでも、小霧にとってはどうでもいいことだった。
ひと目につかないだけで十分ありがたい。
しばらくすると戸口から、お菊と同じように小袖にたすきがけをした娘——しずがそっと出てきた。
小霧がしずの方に顔を向ける。目が合うと、しずは明るい笑顔を浮かべた。
しずは、大きな澄んだ瞳と少しだけふっくらした頬の童顔で、小霧よりひとつ歳下だがそれよりも幼く見える。
小霧がほほ笑んで、狭い長椅子の上を少し横にずれてすき間を作ると、しずはそこに座った。小さな両手で、みたらし団子が四本乗った皿を持っている。
団子からは湯気がほのかに立ちのぼっていて、美味しそうなたれの香りが漂う。
しずはうつむいたままで言った。
「……いいお天気ですね、小霧さま」
小霧は小さく笑った。
「だったらお団子見てないで空を見上げませんか?」
小霧は首を上に向けた。本当に気持ちのいい晴天だ。
しずも、ゆっくりと上を向いて空を見る。
一応の裏庭ではあるが、二畳程度の、庭と言っていいのかどうかという狭さである。
それでも、小霧にとってはどうでもいいことだった。
ひと目につかないだけで十分ありがたい。
しばらくすると戸口から、お菊と同じように小袖にたすきがけをした娘——しずがそっと出てきた。
小霧がしずの方に顔を向ける。目が合うと、しずは明るい笑顔を浮かべた。
しずは、大きな澄んだ瞳と少しだけふっくらした頬の童顔で、小霧よりひとつ歳下だがそれよりも幼く見える。
小霧がほほ笑んで、狭い長椅子の上を少し横にずれてすき間を作ると、しずはそこに座った。小さな両手で、みたらし団子が四本乗った皿を持っている。
団子からは湯気がほのかに立ちのぼっていて、美味しそうなたれの香りが漂う。
しずはうつむいたままで言った。
「……いいお天気ですね、小霧さま」
小霧は小さく笑った。
「だったらお団子見てないで空を見上げませんか?」
小霧は首を上に向けた。本当に気持ちのいい晴天だ。
しずも、ゆっくりと上を向いて空を見る。