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永眠を捨てた青少年
第2章 2
 だまって座っているだけの、静かな時がゆっくり流れていく。
 どれくらい経っただろう、小霧はちらと横目でしずを見た。

 ひざの上に乗せた皿を持っている両手が小さく、白く、愛らしい。
 そっと手を伸ばして触れてみたい。握ってみたい。
 しかしそんなことをすれば、しずはびっくりしてしまって、団子ごと皿を地面に落としてしまうかもしれない。一度も彼女の肌に触れたことなどないから、なおさらだ。

 けれどもそれは、しずに触れる勇気を出せない自分に対する言い訳かもしれない。
 しずの方から触れてはくれないだろうか。
 いや、男がそんな情けないことを考えていてどうする——
 空を見上げてほほ笑んでいるしずの横顔が小霧の目に入る。

 ——今は。
 ——この愛しい顔が見られるだけで十分だ。
 ——まずは、こんな不自由な形でしか逢えない状況を変えないと……
 難しいことは、分かっている。

 しらずしらずのうちに、小霧はじっとしずの横顔を見つめていた。
「あの……私の顔、変……ですか?」
 いつの間にか、しずが小霧を恥ずかしげに見ている。その頬はほんのり赤い。
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