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永眠を捨てた青少年
第2章 2
小霧ははっとしてしずの顔から目をそらせた。
「い、や……そういうわけでは……」
すると、しずは自分の両手で彼女自身の頬を横に引っ張って伸ばした。
小霧はまたしずの顔を見た。
「えっと……しず、何を……?」
「ふぇんな、かお、したほうあ、もっほ見てくらさるかと」
小霧は思わず吹き出した。
しずはいつも控えめで、すぐ恥ずかしがってだまってしまうくせに、ときどき突然こういうことをする。
案の定、しずは自分の頬から手を離すと、顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
「あ、そうだ!」小霧は、あわてるような手つきで懐をまさぐった。
そして艶のある絹に包まれたものを取り出した。それをしずに差し出し、開いて中身を見せる。
小ぶりだが鮮やかで美しい桃色の、梅の花をかたどった髪飾りが乗っている。
しずは目を輝かせてそれを見た。
「わあ! すごくかわいいですねこれ……! お屋敷の誰かのお買い物ですか?」
「違いますよ……これ、しずが欲しいって言ってたでしょう?」
しずはしばらく不思議そうに首をかしげていたが、やがてその顔に驚きととまどいの色が浮かんだ。
「い、や……そういうわけでは……」
すると、しずは自分の両手で彼女自身の頬を横に引っ張って伸ばした。
小霧はまたしずの顔を見た。
「えっと……しず、何を……?」
「ふぇんな、かお、したほうあ、もっほ見てくらさるかと」
小霧は思わず吹き出した。
しずはいつも控えめで、すぐ恥ずかしがってだまってしまうくせに、ときどき突然こういうことをする。
案の定、しずは自分の頬から手を離すと、顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
「あ、そうだ!」小霧は、あわてるような手つきで懐をまさぐった。
そして艶のある絹に包まれたものを取り出した。それをしずに差し出し、開いて中身を見せる。
小ぶりだが鮮やかで美しい桃色の、梅の花をかたどった髪飾りが乗っている。
しずは目を輝かせてそれを見た。
「わあ! すごくかわいいですねこれ……! お屋敷の誰かのお買い物ですか?」
「違いますよ……これ、しずが欲しいって言ってたでしょう?」
しずはしばらく不思議そうに首をかしげていたが、やがてその顔に驚きととまどいの色が浮かんだ。