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永眠を捨てた青少年
第2章 2
 小霧は振り下ろされた白く鈍い光を放つ真剣をすばやくかわすと同時に、龍玄から距離をとった。
 今の間合いでは——小霧でなければ避け切れず本当に斬られていただろう。

「義父上……! 正気ですか……」小霧がそう言い終わるのを待たずに龍玄は一瞬で間合いをつめて斬りかかってきた。
 小霧もやむを得ず——瞬時に打刀の中身を抜いてそれを受けて止める。
 刀を押し込んでくる龍玄の力に一切手加減はない。

 剣豪である龍玄は、木刀の稽古であっても手加減しない。だから誰も龍玄とは手合わせをしたがらない。ほぼ確実に怪我をするからだ。
 今ではまともに相手ができる腕を持つ者は小霧だけである。小霧にしても、身近にはもはや彼と互角に渡りあえる剣士はいないので義父との打ち合いは望むところだ。

 ただし、木刀ならば、だ。
 真剣となると話は違う。
 それでも容赦なく龍玄は矢継ぎ早に刀を打ち込んでくる。受けてかわすのが精いっぱいだ。
 小霧と龍玄は向かい合い、刀を縦に構えたままつばぜり合いになった。

 間近で見る龍玄の顔は怒りに満ちていた。
 威圧感が——尋常ではない。
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