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永眠を捨てた青少年
第2章 2
 自分はしょせん養子なのだ。自分がいなくなっても月下丸がいる。仮に——月下丸に不幸があったとしても、別の養子を迎えればいい。鹿狩家の養子になりたいものなど山ほどいる。すぐに見つかる。

 小霧は暗闇の中、屋敷の裏手で周囲を観察した。
 誰もいない。
 物音ひとつしない。

 小霧は、生け垣の少し植え込みがすいている間を抜けて、屋敷の裏道に出た。
 そして屋敷の方に向き直り、一礼した。
 もう、ここに戻ってくることはない——。
 小霧は闇の中を静かに駆け抜けていった。

     ※   ※   ※

 しずは、まだほとんど闇の竹林の細道を小走りに進んでいた。
 心の臓が口から飛び出してしまいそうなくらいに緊張している。

 でも——
 自分自身で決心したことなのだ。
 それに——
 ——小霧さまもいる。
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