この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
永眠を捨てた青少年
第2章 2
自分はしょせん養子なのだ。自分がいなくなっても月下丸がいる。仮に——月下丸に不幸があったとしても、別の養子を迎えればいい。鹿狩家の養子になりたいものなど山ほどいる。すぐに見つかる。
小霧は暗闇の中、屋敷の裏手で周囲を観察した。
誰もいない。
物音ひとつしない。
小霧は、生け垣の少し植え込みがすいている間を抜けて、屋敷の裏道に出た。
そして屋敷の方に向き直り、一礼した。
もう、ここに戻ってくることはない——。
小霧は闇の中を静かに駆け抜けていった。
※ ※ ※
しずは、まだほとんど闇の竹林の細道を小走りに進んでいた。
心の臓が口から飛び出してしまいそうなくらいに緊張している。
でも——
自分自身で決心したことなのだ。
それに——
——小霧さまもいる。
小霧は暗闇の中、屋敷の裏手で周囲を観察した。
誰もいない。
物音ひとつしない。
小霧は、生け垣の少し植え込みがすいている間を抜けて、屋敷の裏道に出た。
そして屋敷の方に向き直り、一礼した。
もう、ここに戻ってくることはない——。
小霧は闇の中を静かに駆け抜けていった。
※ ※ ※
しずは、まだほとんど闇の竹林の細道を小走りに進んでいた。
心の臓が口から飛び出してしまいそうなくらいに緊張している。
でも——
自分自身で決心したことなのだ。
それに——
——小霧さまもいる。