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永眠を捨てた青少年
第2章 2
お菊が生け垣の端、下方にある小さな戸口の閂を抜いてそっと開く。
「どうぞご無事で」
そう言ったお菊に小霧は手を上げて応えると、外へ出て走り去った。
周囲に気を配りながらなるべく音を立てずに駆ける。
誰かに見られたら——まして、しずと落ち合ったところを見られて、連れ戻されるようなことにでもなれば——あの義父なら腹を切らせるかもしれない。
それを赦されたとしても——しずは、殺されるかもしれない。
——落ち着け。
——もう腹はくくったのだから。
小霧は自分に言い聞かせ、先を急いだ。
※ ※ ※
しずは、息を切らしながら走り続けていた。
もう少し行けば竹林を抜けられるはずだ。抜けたら川にたどり着く。さらに先にある舟着き場まであともうひと息だ。
ふと、しずは足を止めた。
前方に人影がひとつ、じっと立っている。
まだ夜は明けておらず、誰なのかは分からない。
よくよく目をこらしてみると、町人のような格好をしている。
「どうぞご無事で」
そう言ったお菊に小霧は手を上げて応えると、外へ出て走り去った。
周囲に気を配りながらなるべく音を立てずに駆ける。
誰かに見られたら——まして、しずと落ち合ったところを見られて、連れ戻されるようなことにでもなれば——あの義父なら腹を切らせるかもしれない。
それを赦されたとしても——しずは、殺されるかもしれない。
——落ち着け。
——もう腹はくくったのだから。
小霧は自分に言い聞かせ、先を急いだ。
※ ※ ※
しずは、息を切らしながら走り続けていた。
もう少し行けば竹林を抜けられるはずだ。抜けたら川にたどり着く。さらに先にある舟着き場まであともうひと息だ。
ふと、しずは足を止めた。
前方に人影がひとつ、じっと立っている。
まだ夜は明けておらず、誰なのかは分からない。
よくよく目をこらしてみると、町人のような格好をしている。