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永眠を捨てた青少年
第2章 2
 馬面の男がしずの頬かむりをはぎ取って、顔を近づけてきた。息が臭い。
「やっぱ女だ」
「あのっ……あなた方は……誰、ですか……?」しずがおびえた声で聞いた。
「お前に用がある者たちだ」
 二人の男は下品に笑った。そして髭面の男が言った。
「もう一回聞くぞ、三回目はねぇからな? どこに行こうとしている? それも男の格好して頬かむりまでして」

 しずは怖さで思考が止まりそうになるのを必死に耐えた。
 そして一生懸命に考えた。
 ただの物盗りなら、もうとっくに手を出してきているだろう。
 そうではなく、ここにいる理由を二回も聞いてきた。

 しずの答えに難癖をつけて、それを襲う理由にしようとしているのだろうか?
 いや、一回だけなら悪ふざけでそういうこともありそうだが、周囲に誰もいない中で、この圧倒的に不利な状況にいる小娘に向かってそんなことをするだろうか?
 しかもこんな未明の不自然な時間に、だ。

 本当に理由を知りたがっているとしたら?
 この二人が鹿狩家と何らかの関係があるかは分からない。
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