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永眠を捨てた青少年
第2章 2
 だが関係があろうがなかろうが、相手が誰であろうが、本当のことを話せばいずれ鹿狩家の誰かの耳に入るかもしれない。
 そうなれば、小霧もただでは済まない。

 ——小霧さまに絶対にご迷惑をおかけするわけにはいかない。
 駆け落ちの企みなど、最初からなかったことにしなければならない。
 まったくの無関係を装うしかない。

 しずは恐怖にあらがいながら、心を決めた。
 この先の待ち合わせ場所には、いずれ小霧が来る。
 できるだけ、離れた場所へ——。

 しずは全身を奮い立たせて、とっさに道の横の竹林に駆け込んだ。そして全力で竹の間をかき分けて走り出した。
 ——が。
 しずの体は気がつけば倒され、強い力で上から押さえつけられていた。
 あっさり二人の男に追いつかれている。

「面倒だねえ」大柄の馬面が言った。
「こうなる方が楽しいに決まってるじゃねえか……お前もそう思ってるくせによ」
「まあな」
 しずは地面に全身を押しつけられ、二人の笑い声を聞いていた。
 いつの間にか、しずの目からは涙がこぼれ落ちていた。
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