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永眠を捨てた青少年
第2章 2
※ ※ ※
小霧は川沿いの舟着き場へとたどり着いた。手はず通りしずとは別の経路を通ってきた。万一にも誰かに二人が連れ立っているところを見られるわけにはいかないからだ。
そばの小屋を一周ぐるりと歩き、あたりを見回す。
見える範囲ではまったく人影がない。
が、しずまでもが居ないのはどういうことだろう?
しずはお菊の店を先に出たはずだ。さほど遠い距離でもないし、しずに行かせた経路の方がむしろ距離は短い。
舟の数は減っていない。
道に迷ったのだろうか?
いや、しずはあの竹林の道はよく知っている。
足でもくじいて途中で動けなくなっているのだろうか?
誰かに見られそうになって隠れてやり過ごしているのだろうか?
しずが来るはずの経路を逆にたどって迎えに行くべきか——
しかし、何らかの理由で急ぎ別の経路に変えた可能性もある。
入れ違いだけは避けたい。
小霧は焦りを覚えながら、少し離れた竹林の方をじっと見つめていた。