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永眠を捨てた青少年
第2章 2

(3)

 格子がはめられた小さな窓から入る光は、うっすら明るくなってきた。夜が明けるまでもうすぐのようだ。
 しかしそれは先ほどよりは明るくなったことが分かる程度で、うっそうと生い茂る山中の木々に囲まれたこの小屋に届く光はもともと多くない。

 すぐそばを流れ落ちる滝のせいか、小屋の中の空気はひんやりしている。
 滝壺は少し下の方だが、大きな滝なので落下する水の音がかなり響いてくる。

 ただでも人が寄りつかなさそうな場所なのに、これだけ水音が大きければ、しずがいくら叫び声をあげたところで——誰にも届かないだろう。

 小屋の中で、また鋭く空を切る音がした。
 しずは絶叫した。

 しずのか細い両腕は、真横にまっすぐ伸ばした状態で、太い竹の棒に沿って縄で強固に縛りつけられていた。竹の棒の真ん中はしずの背中側にあり、そこに幾重にも巻きつけられた縄は上に伸び、天井の梁にくくりつけられてしずの体を吊るしている。

 しずは一切の衣類をはぎ取られ、全身の肌をすべてさらしていた。
 両足は大きく開かせられたまま、足裏は床にはついているものの、足首に大きな石を縛りつけた足枷がはめられている。
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