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永眠を捨てた青少年
第2章 2
 厳高は鷹之丞の手をさりげなく振りほどいて再び歩く。
 鷹之丞はわずかに目を細めた。
 そして彼は、厳高の後ろ姿をじっと見すえながら、そのあとを歩き出した。

     ※   ※   ※

 しずは、竹の棒に縛りつけられ吊るされたまま、意識を朦朧とさせていた。
 小屋の中で、壁の端にもたれながら髭面と馬面の二人の男はにぎり飯をほお張っている。

「なあ……そろそろ俺ぁ我慢しきれなくなってきたぜ」馬面が言う。
「なにが」髭面が無愛想に答える。
「おめえもそうだろ? 痛めつければ痛めつけるほど、もうむらむらして仕方がねぇ」
「だめだ。こいつは生娘だ。やったらばれる」
「わかんねえって」
「……やっぱりお前を連れてくるんじゃなかった」
「頼むよ……少しだけ」

 髭面は馬面に顔を近づけてすごんだ。
「……命と引き換えにする覚悟はあんのか……?」
 そして髭面は持っていたにぎり飯を平らげて言った。「小便行ってくる」

 馬面は髭面が引き戸を開けて出ていくのを、いまいましそうに眺めた。そしてしずの方へと目をやった。
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