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永眠を捨てた青少年
第2章 2
「確かに……しかし三日も前とはまことのことでしょうか?」
 阿賀都はふに落ちないといった様子だ。
「某が最年長の家来であるがゆえかと」
「しかし鷹之丞どの、今さらそれを聞いてどうなさるおつもりですか?」

 阿賀都は疑心暗鬼になってきている。駆け引きではこの若者に負ける気はしない。
 鷹之丞はわざと周りの様子を伺うようなそぶりを見せ、阿賀都に顔を寄せた。その顔半分が夕日で赤く染まる。

 鷹之丞は小声で言った。
「ある協力者が……どうもお前が裏切りを企んでいると言っているらしい」
「ばかな!」
 阿賀都は大声を上げたが、すぐにばつが悪そうに自ら口に手を当てた。

 ——分かりやすい男だ。
 ——根は悪い男ではないのだが。
 少なくとも、小霧の駆け落ちを家来たちが知ったのはさほど前ではない。二日以内、それも直前に近かったはずだ。そして外部に協力者がいることはほぼ間違いない。

 阿賀都は声を落として聞いてきた。
「……どの協力者がそんなことを言っているのですか」
「某も人づてに小耳にはさんだ程度……それに今回の話のことかもはっきりしないし、某も信じてはいない」
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