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永眠を捨てた青少年
第2章 2
「どの話であっても一切身に覚えはありません」
 阿賀都は少し安堵した様子だ。

 鷹之丞はわざと話をまったくの別方向に振った。
「鱒壱と厳高の姿が見えぬが?」
 あまり深追いする必要はない。この男にはここで逃げ道を用意してやった方がいい。
「……御館さまの外出に同行されましたが」
「引き留めて悪かった」

 鷹之丞は立ち止まったままの阿賀都をあとに、廊下を歩いていった。

     ※   ※   ※

 小屋の中はすっかり暗くなっていた。
 まだ夕刻のはずだが、森の木々と滝に囲まれた小屋には光が届かない。
 小屋の中は一本のろうそくの光だけで照らされていて、薄暗い。

 しずは、龍玄がやってきてからしばらく緊縛をとかれ、ひとり小屋に放置された。
 動けないまま、意識を失っているのか眠っているのか分からない状態が長く続いたあと、少し前に龍玄、そして髭面と馬面の男が小屋に戻ってきて、再び緊縛された。

 今——しずは立たされたまま両足を開かせられ、足が動かせないよう足首を大石に縛りつけられている。
 両腕は後ろ手に縛られ、上半身も小さな乳房をしぼり出すようにその上下に何重にも縄を強く巻きつけられていた。
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