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健康診断1泊2日コース~検体はこちらで採取いたします~
第3章 2日目
「はい。」

昨日の整理がまだできていないのに・・・。
京華はそんなことを思いながら返事をした。

「そろそろお時間になります。お忘れ物はありませんか?」

忘れ物もなにも、何も持ってきていないのだから忘れようがない。
と心の中でぼやきながら「大丈夫です。」と返した。

「では、行きましょう。ついてきてくださいね。」

点滴とおしっこの管は相変わらず歩きにくい。
高級感あふれる部屋に別れを告げ、エレベーターに乗り込んだ。
案内された先は昨日の部屋だった。
そう。
昨日の診察室。

あぁ、またこの部屋か・・・。

嫌でも昨日のことを思い出す。
破廉恥な格好で拘束され、おしっこを漏らし、大泣きした診察室。
体が思い出す昨日の羞恥。
それと同時に思い出す昨日の記憶。
「泣いてもいい」という自分への許可と「お願いは聞いてもらえない」という微かな従属意識。
そして下腹部の違和感とも疼きとも言える変な感じ。

京華にとって初めてがたくさん詰まったその部屋は、まるで何もなったかのように片付いていた。
おしっこの臭いもしない。
部屋ごとクリーニングしたみたいだ。

「診察台に座ってお待ちください。一柳から今日の治療内容について説明があります。」

「わかりました。」京華は静かに腰を掛けた。

何をするんだろう?
治療ってどんなことするのかな。
普通に考えたら、お薬飲んで、リハビリみたいなのをやって・・・とか?
考えてもわからない。
わからなさすぎて、不感症のリハビリって何よ?と自分にツッコミを入れた。

「おはようございます。」一柳が奥から現れた。
手にはカルテらしきものを持っている。
昨日と同じ白衣。昨日と同じ匂い。
うっとりするような美しさ。

一瞬下腹部から膣口にかけて力が入った。
明らかに一柳に反応している。
これは、何?
どうしたの、私の体・・・

「昨日はよく眠れましたか?」

「はい。すぐに眠っちゃったみたいです。」
なんとか平静を装う。

「そうですか。眠れてよかったです。睡眠不足で治療に支障があってはいけませんからね。」

「はい・・・。」

「早速ですが、昨日の検査結果と本日の治療内容の説明を申し上げます。」

「・・・。」
何を言われるのか想像がつかなくて、どの言葉を選べばよいのかわからなかった。
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