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特別棟の獣
第9章 戸惑う気持ち

「吏生、起きてっ」

「ん〜〜、終わった?」

「うん、二限出るんでしょ?早く行かないと」

「百合は?」

「一コマ空いてるから図書室行ってくる」

「だーめ、俺の部屋にいて」


………。

この大学の図書室は人も少なくて穴場だったのに。


女の人はいないし、いるのはガリ勉っぽい男の人が数人いるくらい。


でも吏生が嫌がることはあんまりしたくないから、とりあえず特別棟に行こうかな。





「じゃあ百合また後でね」

「うん、行ってらっしゃい」


吏生の歩いていく背中をぼーっと眺めた後、くるっと方向を変えて特別棟に足を踏み入れようとした時だった──
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