この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
特別棟の獣
第9章 戸惑う気持ち
「吏生、起きてっ」
「ん〜〜、終わった?」
「うん、二限出るんでしょ?早く行かないと」
「百合は?」
「一コマ空いてるから図書室行ってくる」
「だーめ、俺の部屋にいて」
………。
この大学の図書室は人も少なくて穴場だったのに。
女の人はいないし、いるのはガリ勉っぽい男の人が数人いるくらい。
でも吏生が嫌がることはあんまりしたくないから、とりあえず特別棟に行こうかな。
「じゃあ百合また後でね」
「うん、行ってらっしゃい」
吏生の歩いていく背中をぼーっと眺めた後、くるっと方向を変えて特別棟に足を踏み入れようとした時だった──