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特別棟の獣
第9章 戸惑う気持ち
「おいっ、待てよ」


階段を駆け上がって吏生の部屋に入ると、続けて來も入ってきた。


「なんで入ってくるの」

「なんかされたのか?」

「されてないよ」

「言ってみろ」


されてないって言ったのに……


それに來には関係ないし…


黙ってソファに座っていると、対面するソファに來は寝転んだ。


「ここで寝るの…?」

「お前がなんも言わねぇからだろ」

「言うほどの事じゃないし…」

「そんな顔して説得力ねぇぞ」


どんな顔してるって言うんだろう…

でも気にしていてもしょうがない。

バッグから小説を取り出して読むことにすると來は目を瞑って寝始めてしまった。



小説を読み始めたは言いものの、さっきの女の人の言葉が気になって全然集中できない。


きっとこの大学にいる人は吏生が桐谷グループの次期取締役って知ってるから私の事、玉の輿とか思ってるんだ…

そんなこと知らなかったのに…


それにずっと心がモヤモヤしてスッキリしない。
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