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特別棟の獣
第11章 ストーカー
周りに人は誰もいない。


こんな路地裏に誰か来るとは思えない…


「やだっ…!」


「へぇ、顔も声も可愛いじゃん。すっげぇタイプ」


気持ち悪い………

口に抑えられていた手は私の顔を掴んで無理矢理目を合わせようとしてくる。


触られた手が気持ち悪くてしょうがない…


やっぱり近くても車で買い物に行けばよかった…


せっかくお父さんが車買ってくれたのに…


吏生が来てくれるのを信じて、少しでも時間稼ぎができればとできる限り手足をばたつかせていると目の前の男の人から舌打ちが聞こえる。


「何手こずってんだよ、これ使え」


店員さんと話していた男の人が合流したのか、小さめの小瓶を差し出している。


「これ飲んで気持ちくなろうか」


何……コレ……


力ずくで口を開けられ、小瓶の中の液体が喉を伝って体内に入ってしまった。


恐怖で身体が固まって抵抗すらできない…


「り、お……」


その人の名前が出たのは無意識だったのかもしれない。


「おい今その女、りおって言わなかったか…?」

「あ?だからなんだよ」

「それが桐谷だったらやべぇぞ!」

「誰だそれ」


そんな会話が聞こえてきた。

私を抑え込んでる人は知らないみたいだけど、もう1人の人は吏生の知り合いなのかな…


この地域は吏生の地元らしいから知ってる人は多いだろうけど。
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