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特別棟の獣
第11章 ストーカー

大学に来て百合の講義が終わると、いつも通り学食に来た。


ずっと周りの目を気にしていた百合は、最近になってやっとそれに慣れてきて俺の横にピッタリとくっ付いて歩くようになった。


席に座ってご飯を食べ始めると俺はある提案をした。


「ねぇ百合、今週の土曜日暇?」

「特に予定はないけど」

「土曜日、俺の親父の会社のパーティーがあるんだけど一緒に行かない?」

「え…、私が……?そんな、無理だよっ…」


目立つことが好きじゃない百合は行きたがらないとは思ったけど、予想通りとは…

お父さんの会社のパーティーには行くくせに。


「百合のお父さんの会社のホテルだよ?多分お父さんもお兄さんも来ると思うけど」

「ほんと…?」


俺がいるだけじゃ不安なのかな。

小さい声で「お兄ちゃんが来るなら…」って言ってるのを見ると、お兄さんにまで嫉妬するんだけど。

確かにすごい仲良さそうだったし、お兄さんは百合が可愛くて仕方ないって感じだったな……


それに親父の会社に俺が百合を連れていけば、いつも寄ってくる女も観念するだろ。


「何、桐谷グループのパーティー行くの?」

「あ、蒼さん。昨日はありがとうございました」

「いえいえ、百合ちゃん行くなら俺も土曜日顔だそうかな」


最悪だ。

蒼に百合のドレス姿見られたくないな…

蒼はいつもタイミング良すぎて狙ってるんじゃないかって思ってきた。
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