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特別棟の獣
第16章 2人の想い
〈百合 side〉


別れたいっていうのは本心ではないけど、もうこれ以上傷つくのも、辛い思いをするのも嫌だった。


こんな気持ちは初めてでずっと頭の中は混乱しっぱなし。


何より心が痛くて苦しい。


今も大好きな吏生に抱きしめられてるのに、それを抱き返すことも出来ない。


もうどうしたらいいのか……


頭も痛いし……


なんだか視界もボヤけてきた………


「百合…?」


身体を少し離されて顎を上げられるけど、この至近距離でも吏生の顔がボヤける……


なんだか吏生が少し焦ってるように見えるのは気のせい?



「直ぐマンションに迎え来てくれ」


誰かに電話してる。

どっか行くのかな。


とりあえずベッドに移動したい。


「り、お……」


「大丈夫だから、病院行こ」


身体に力が入らなくて、その後はされるがままだった。


ソファに置いてあったブランケットを身体に巻かれている時に意識が遠のいていった──…

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