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特別棟の獣
第18章 女の深い嫉妬
どこに行くにも吏生はついてくる。


スーパーに行くのでさえついてくるようになったし、大学では講義以外ならずっと側にいる。


私が講義を受ける時は來が隣にいつもいる。


別にそれが嫌な訳では無い。


また私に何かあったらと心配してくれるのが嫌なわけが無い。


でもそれが吏生の負担になっているんじゃないかと思ってしまう。


私がそんな事しなくていいって言えば、吏生は俺がしたいからいいと言う。





そして吏生の嫉妬は止まらない。


それは私の部屋に秘書の参考本が吏生に見られてしまったことから始まった。


「百合、なんで秘書の本があるの?」

「秘書をやる予定だから」

「は?何それ、聞いてないんだけど」


就職の話なんてしたこと無かったから言うタイミングもなかったし…


「誰の秘書?」

「お兄ちゃんだけど」

「男じゃん、駄目だよ」

「え…?でも吏生だって次期取締役だから秘書やる人いるでしょ…?スケジュール管理とか大変だろうし…。それにお兄ちゃんだよ?」

「百合は大学卒業したら俺と結婚して専業主婦って決まってるの」


何勝手に決めてるの…

社会経験は大事だし…

それに結婚だなんてまだ全然先のことだと思ってた。

でも吏生の顔は真剣そのもの。




「そんなに言うなら吏生がお兄ちゃんを説得してね」

「勿論」


…………。


私の将来、どうなるんだろう……。
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