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特別棟の獣
第19章 1年後──
「緊張する……」


左の薬指にされた婚約指輪を見ると、本当に私なんかでいいのかと不安になる。


「なんで百合が緊張するの、俺の方が心臓爆発しそうなのに」

「そうだよね…」

「お前なんかに娘はやらん!なんて言われたらどうしよっか?」


ヘラヘラ笑ってる吏生を見ると、緊張してるなんて到底思えないけど……


「そろそろ時間だから行こ?」

「うん……」


パーティーの時間より1時間早くお父さんを呼んでいるから、エレベーターに乗って会場の隣にある部屋に向かった。


その部屋に入ろうとすると「吏生くんと百合じゃないか」とタイミング良くお父さんの声がした。


「ご無沙汰してます」


吏生がお父さんに挨拶をすると、お父さんはニコニコしながら部屋に入って椅子に腰をかけた。


向かい合うように座ると、吏生が直ぐに口を開いた。
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