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特別棟の獣
第19章 1年後──
「単刀直入に言いますが、百合さんが大学を卒業したら結婚したいと思っています。今日はそのお許しを貰いに来ました」
ニコニコしていたお父さんは目を見張って吏生を見ていた。
「百合はそれでいいのか?」
お父さんは吏生から私に視線を向け、真剣な顔で聞いてくる。
「うん。昨日ね、吏生からプロポーズされて凄く嬉しかったの。私もずっと吏生と一緒にいたいから」
「そうか、就職はどうするつもりだ?予定なら翼の秘書をすることになっているだろう?」
それはやるつもりでいる。
吏生だけ働いて私が専業主婦なんて……
「その事なのですが、お兄さんにはお断りをさせてもらいました。百合には専業主婦として僕のことを支えて欲しいと思っています。苦労はかけさせないとお約束します」
「え…?」
お兄ちゃんといつそんな話をしたの……?
私がポカンとしているとお父さんが「吏生くんは俺に似てるなぁ」と笑いだした。
「俺も妻に働かせたことは一度もないんだ。愛する人に苦労させたくないことも分かる。それに帰って一番におかえりって言ってもらいたいよな」
なんて言ってご機嫌だ…
「吏生くん、俺の可愛い娘をこれからもよろしく頼むよ」
「勿論です」