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特別棟の獣
第19章 1年後──
パーティーが始まる直前に吏生のお父さんにも挨拶をした。


「こんなバカ息子で良ければこれからもよろしくね」と言う吏生のお父さんの顔はいつになく優しい表情だった。


それからパーティーでは吏生に挨拶しに来る人は沢山いて、私の事を婚約者だと何度も紹介してくれた。


一通り挨拶を終えると「百合ちゃーん」と少し離れたところから私を呼ぶ蒼さんの声がして、その隣に來もいた。


「私服も可愛いけどドレスはもっと可愛いね」

「あ、ありがとうございます…」


蒼さんはいつも何かしら褒めてくれるけど、中々慣れない…


「すげぇな…、マジでお嬢様って感じじゃん…」

「それはなんか嬉しくない」


來は嫌味ったらしくお嬢様なんて言うから「來だってお坊ちゃまでしょ」と言ってやった。

まぁ、お坊ちゃまには見えないけど…


「なんか女の子達がザワザワしてると思ったらその指輪のせいかな?」


蒼さんが指をさす先には、昨日吏生から貰った婚約指輪がある。



「え、何、プロポーズでもされたわけ?」

「うん」

「まーじか、やるな吏生さん」

「私が1番ビックリしてるよ…」



私が來や蒼さんと話していると、吏生は「ここで待ってて?」と言って蒼さんに「百合守っといて」と顔を向けてからどこかへ行ってしまった。
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