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特別棟の獣
第19章 1年後──
つか、なんで來に触ってるわけ?


そんなの見て俺が怒らないとでも思ってるの?


「來、離れろ」

「いや、どう見ても百合がくっついてきてるだろ」


それは分かってんだよ。


俺が百合に近づいていくと今度は蒼の方に逃げていった。


マジで何これ……。


「百合ちゃん、俺が部屋まで送ってあげようか?」


蒼がそう言うと、百合は蒼を見上げてコクンと頷いた。


クスクス笑う蒼は「エレベーターまでな」と俺に言って会場を出ていった。

もちろん、俺はその後ろについてるけど。



エレベーターに乗るタイミングで百合の腕を掴んで扉を閉めると、百合はトロンとした目で俺を見上げてくる。


「百合、あれは駄目だよ」

「なんのことか分からない」


うん、呂律は回るみたい。

会話も出来そう。


「あんなに來と蒼にベタベタして俺が嫉妬しないと思った?」

「吏生が先でしょ」

「ん……?」

「あんな沢山の女の人に囲まれちゃって嬉しかったの?」


………どうしよう。

百合がこんな嫉妬してるなんて思わなかった。


いつもなら「付き合いもあるでしょ?大丈夫だよ」とか言うのに…




「吏生は私のだもん……」



なんだ……この可愛い生き物は……
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