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特別棟の獣
第19章 1年後──
エレベーターが最上階について、百合の腰を支えながら部屋に入り、ソファで俺の膝の上に横抱きにした。


「本当は嫌だった?」


顔を覗き込むと、百合は小さく頷いた。


「もうパーティーに来るのやめる…」

「え…、でも次は朝倉コーポレーションのパーティーが年末にあるよ?」

「行かない」

「もう嫌になっちゃった?」

「だって…、みんな吏生に色目使って近づいてくるんだもん…。そんなの見るくらいなら来ない方がいいもん…」


喋り方も可愛くなっちゃってるし、今すぐ食べてくださいって言われてるみたいなんだけど…


「他の人好きになっちゃ駄目だからね…?」

「そんな事ある訳ないでしょ」

「吏生モテるから不安なんだもん…」


それは百合でしょ…


今日だって俺が少し目を離した時、他の企業の若社長が近づこうとしたから蒼を傍に置いてたのに。


來は食べることに夢中だから蒼に頼んだのに蒼は酒飲ませちゃうし…


「百合酔ってる?」

「酔ってないもん…」


うん、酔ってるね…
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