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特別棟の獣
第23章 不安な気持ち

〈百合 side〉


旅行から帰ってきて、私はお酒を飲まなくなった。


北海道で買ったお酒はずっと冷蔵庫に眠っている。


賞味期限が長くてよかったけど、旅行で酔っ払ってしまった時の記憶がはっきり残っていて飲む気になれない。


1本しか飲んでないのに酔っ払ってしまうなんて、私は相当弱いんだ…。


でも、あの日から吏生は私にお酒を飲ませようとしてくる。


勿論、2人きりの時だけだけど。


そして吏生は完全に私の部屋に住みついている。


もう講義には出ていない吏生は、会社で仕事をしに行くことが多い。


覚えることも多いし、やっぱり大きい会社だから取引先も沢山あって忙しそうにしている。


「百合が卒業するまでに1人前になっとかないと」ってずっと言ってる。


どうやら私が卒業したら本当にすぐ結構する気らしく、私の両親を安心させてあげたいらしい。


吏生の本気はわかったけど、就職をしない私はただの重荷なんじゃないのかな…


夕食を作りながらそんな事を考えていると、吏生が帰ってくる音がした。
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