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特別棟の獣
第23章 不安な気持ち
数日後、暇を持て余している私は大学に来ていた。
単位は取れているとはいえ、色んな学部に興味があった私はせっかくだしと思い講義に出ていた。
講義を終えて帰ろうとしていると「百合さん?」と声をかけられた。
「あ、玲生くん」
「珍しいっすね、講義出てたんですか?」
「うん、家にいても暇で」
「飯行きません?あ、学食っすけど」
玲生くんは「外だと兄貴に怒られそうだし」と付け加えて学食へ歩き出した。
学食でも外で食べても余り変わらない気がするけど。
「百合さんいつものでいいっすか?」
「あ、うん」
この優しさは吏生と同じだ。
私の分までお盆を持って席に持っていってくれる。
兄弟だなぁと思う瞬間が時々見えると新しい発見ができて頬が綻ぶ。
「そう言えば婚約したって聞きました。おめでとうございます」
「ありがとう」
「百合さんが姉貴ってことっすね」
なんだか感じたことない感覚だけど、本当に吏生と結婚したら家族になるんだなぁと心が暖かくなる。
それと同時にやっぱり不安もあるけど。