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特別棟の獣
第25章 幸せな時間
吏生の運転で着いた先は、お父さんがよくパーティーで使っているホテルだった。


「吏生、なんでここにしたの?」

「百合と付き合い始めたのはここのホテルだったし、ここで百合のこと色々知れたから思い出詰まってるでしょ?それに百合はここの朝食もレストランの料理も好きだし、夜景も綺麗だから丁度いいかなって思って」

「丁度いい…?」


なんの事だろう。


「いいから早く行こう」


吏生の腕を掴んでレストランに向かうと、予約席に連れていかれ、前菜から順に運ばれてくる料理を堪能した。


大学生活は平凡に終わるものだと思っていたのに、まさか吏生と出会って、付き合って、結婚まですることになるなんて想定外過ぎた。


最初は顔だけいい獣だと思っていたのに、今じゃ好きで好きで堪らない人。


きっとこれから先、吏生以外の人をこんなに好きになることなんてないと思う。


デザートまで食べ終え、テーブルの上が綺麗に片付けられた時、吏生が1つの封筒を私に差し出してきた。
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