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特別棟の獣
第25章 幸せな時間
その封筒の中にある紙を出し、広げて見ると、私の瞳から涙が零れ落ちた。
「改めてだけど、俺と結婚してくれる?」
それは吏生の名前が記載された婚姻届だった。
証人の欄に吏生のお父さんのサインまである。
「勿論だよ…。吏生こそ、私なんかでいいの…?」
「当たり前でしょ。百合以外考えられないから」
吏生はいつも通り、安心させる言葉を掛けて私の頬を流れ落ちる涙を拭ってくれる。
「ほら、もう泣き止んで。部屋行こ?」
「部屋も取ってあるの…?」
「うん。百合のお父さんに頼んで結構前から予約しておいた」
そんな事していてくれていたなんて…
止まりそうだった涙がまた溢れてくる…
エレベーターに乗って、向かう先はなんと最上階のスイートルームだった。
「この部屋を予約したの…?」
「うん、特別な日だから」
大学の卒業祝いにこんな事までしなくていいのに…
「百合、ドア開けて」
言われるがまま、ドアを開けて部屋に入ると、前回来た時より数倍豪華な部屋に私は言葉を詰まらせてしまった。