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特別棟の獣
第3章 お気に入り
「ありがとう…じゃあ私は帰るから」

「は?助けてやったんだからメシくらい付き合え」

「やだ、帰る」


そう言ってマンションの方に歩き出した──


「ちょっと!」


帰るって言ったのにズルズルと引きずられるように連れていかれてしまった。


連れてこられたのは隠れ家的なカフェで全席個室みたい。

「お前、俺の名前覚えてる?」

「來さん」

「來でいいって、タメだし」

「………」


覚えたくもないし、呼びたくないけど吏生さんから逃げれたことに安心してる。

來もいきなりキスしてきた最低な男だけど、吏生さんの方が何倍も酷かった。
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