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特別棟の獣
第3章 お気に入り

ご飯を食べ終えてお店を出ると來は何か思いついたように「言い忘れてた」と私の方に振り返った。


「吏生さんに“お気に入り”って言われたら気をつけろよ」

「どういうこと?」

「俺らの中じゃ吏生さんがルールな訳。彼女は作らないけど吏生さんが気に入った女ができたら手は出すなって言われてんだよ」


どうやら吏生さんは特別棟に居る中でもリーダー的な存在らしい。


「特別棟使わせてもらってるだけ有難いからな」

「そもそも要らないでしょ」

「毎回ホテル行くより楽でいいだろ」


何それ…


「あそこはホテル代わりなの…?」

「わかりやすく言えばそんなとこ」

「…………気持ち悪い」

「お前だって吏生さんとヤッたんだろ」


したくてした訳じゃないのに…


「もういい…帰る」

「気をつけて帰れよ〜」
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