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特別棟の獣
第3章 お気に入り
來に吏生さんの話を聞いてから大学に行くのが嫌になってしまった。
土日は新しい服を買ったり、小説を読んだり、好きなことをして気分をリフレッシュさせようと思ったのに、時間はあっという間に過ぎてしまい、今は月曜日の朝。
気分が上がらないけど、大学には行かないと…
それに吏生さんだって私の事なんて気にも止めてないかもしれない。
重い足取りで大学に向かった。
今日は少しだけ余裕を持って教室に入り、目立たなそうな席に座ってノートやペンを出していると隣にドカッと誰かが座った。
横目で見るとそこには來が座っていて、周りからの視線も感じる。
「隣に来ないで」
「いいだろ別に」
「來達に関わりたくない…」
小声で喋っていると、教室内がザワついた。
「あー…、もう手遅れ」
「何が……」
気づいた時にはもう遅かった。
周りの女の子達の声が聞こえてしまったから…
“吏生さんだ!”
“なんでこの学部に吏生さんがいるの!?”
“きゃー!カッコイイ~!”
最悪だ………
よりによって一番会いたくない人。
吏生さんは2年で学部が違うと來に聞いたから教室にいれば会わずに済むと思ったのに…