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特別棟の獣
第3章 お気に入り
「おはよう、百合ちゃん」

「おはよう…ございます…」


さっきまで隣にいた來は吏生さんに「退け」と言われて前の席に移動してしまって、今私の横には吏生さんが座っている。


「話があるんだけど、一緒に来てくれる?」


嫌…

吏生さんと2人きりにはなりたくない…


「もう講義が始まるので……」


90分の講義中に逃げる方法を考えればいい…


「大丈夫、講義には出たことにしてあげるから」

「意味…わからないです…」

「頼めばどうにでもなる。それにテストとかないからレポート出せば卒業できるし」


そう、この大学はテストというものが無い代わりにレポートを提出すればいいだけ。

でも私はそんな事より普通に講義には出て勉強はしておきたい。


「吏生さん、こいつはちゃんと勉強しに来てるみたいよ」


來が救いの手を出してくれたから引き下がってくれるかも…




そう思ったのに、吏生さんは來を見て不機嫌そうな顔をして

「百合ちゃん、俺のお気に入りだから」

と言い放った。



その刹那、教室がザワついて居ても立ってもいられず、私は教室を飛び出してしまった。
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