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特別棟の獣
第4章 侵食されていくカラダ
「何かあった?」

ソファに座る私の前に屈み、聞いてくる。


「別に何もないです」

「俺何かした?」

「してないです」

「ならなんで?昨日学食一緒に行くって約束したのに」

「だから、他の女の人と行ったらどうですか」

「なんでそうなるの?」

「さっきまで女の人といたんじゃないんですか」


吏生さんは目を見張って少し驚いたような顔をする。

図星だったのかな。

なんでもいいけど…

吏生さんみたいな人、周りの女の人が放っておく訳ないし。



「さっきまでこの部屋にいたけど1人だったよ?」

「え…?でも……香水……」


鼻が利くわけじゃないけど、甘ったるい香水の匂いがなんか心地悪い。

吏生さんは「香水?」と首を傾げて自分の着てるシャツの袖に鼻を近づけた。


「あー…さっき掴まれた時かな…」

「………」

「ごめんね、すぐ着替えるから」


掴まれただけでそんなに匂いが移るものなのかな。

少しモヤモヤしていると、さっきとは違うシャツを着た吏生さんが私の隣に座った。
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