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特別棟の獣
第6章 開き始める心
「はい、飲んで」
「ありがとうございます……」
ソファに座らされて、ペットボトルの水を渡された。
一口飲めば、カラカラだった喉が潤って冷たい水が気持ちいい。
「百合ちゃんってなんで今まで彼氏いなかったの?告白とかされなかった?」
「告白はされた事ありますけど…別に付き合いたいと思わなかったので……」
なんでこんな事聞いてくるんだろう。
「好きなタイプは?」
「外見で判断しない人……」
「マジか。遠回しに俺はタイプじゃないってことね」
自分で分かってるんだ。
それが言いたくて言ったことだから理解が早くて助かるけど…
別に自分が可愛いって思ってる訳じゃないけど、初対面であんな事してきたから、少なくともブスだとは思われていないと思う。
「ごめんね、初対面であんな事して」
「…………」
「どうしたら許してくれる?」
そんなのひとつに決まってる。
「私に関わらないでほしいです…」
それだけでいい。今までの生活を返してほしい。