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特別棟の獣
第1章 出逢い

今日は私ってなんの事だろう…

それに吏生さんは“今日はこの子にする”ってさっき黒髪の人に言っていた。

理解できないまま連れてこられたのは噂の特別棟だった。

階段を登って2階のある部屋に入ると、そこは学校という感じではなく、普通の部屋だった。

セミダブルのベッド、冷蔵庫、ローテーブルを挟むように置かれた2つのソファ。

ここに住んでるんですか?って言われてもいいくらい。


「靴脱いで」

「あ、はい」


ヒールを脱いだと思えば壁に追いやられ、吏生さんの手が私の顎を掴み、スッと上を向かせた。

すると、一気に私と吏生さんの顔の距離が縮まった。

顔を逸らそうとしても吏生さんの手によってそれは無駄な抵抗に終わる。


「やめ……んっ」


唇に柔らかいものが当たったと思えば、それは吏生さんの唇で私はキスをされていると考えなくても分かった。

どうしてこんな事になっているのかなんて考えてる余裕はない。

持っていたバッグがボトッと落ちてとりあえず抵抗の為に吏生さんの身体を全力で押し返した。

唇が離れても吏生さんの手は私の顎を掴んだままで視線が混じり合う。


「可愛い」


ボソッと呟いたと思えばまたキスをされる。

触れるだけのキスとは違って、私の唇を食べるように啄んでくる。

「んっ……や、め……」

やめてって言いかけたところでヌルッとしたものが口内に侵入してくる。


「ん……っ、ぁ………ゃ……」


吏生さんの舌が私の口内を掻き回してると分かった時にはもう頭がクラクラしてきて立っているのがやっとの状態だった。

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