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特別棟の獣
第7章 夏休み①

「やっぱり俺の事嫌い?」


最近の吏生さんは…


「………嫌いではないです」



常に優しいし、色んなことに気遣ってくれる。

むしろこんなに優しい人に出会ったことなくて戸惑ってるくらいで…

出会いは最悪だったけど…



「百合?」


「あの……どうしていいか分からなくて…」


恋愛をしたことがなければ、彼氏なんていた事もなくて頭の中はどうしたらいいか分からなくなってしまっている。



「じゃあ俺の事、信じて」


吏生さんの顔は真剣そのもので、真っ直ぐ私を見ている。



こんなにカッコイイ人が私の彼氏だなんて株を下げてしまう…

他にも綺麗な女の人は沢山いるし、吏生さんに見合う人になれる自信なんてない。


「余計な事は考えないで。俺が好きなのは百合だけだから」


そんなこと言われたら…揺らいでしまう…。



「でもっ…」


「百合、お願い。側にいて」



再び抱き締められて、何故だか落ち着いてしまっている。


「分かりました……」




この時はまだ甘く見ていた。



吏生さんから貰う甘い蜜がある代わりに、地獄もあるということを────
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