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特別棟の獣
第8章 夏休み②
夏休みに入って1ヶ月が過ぎた。
毎年恒例の家族旅行が終わり、残りの半分の休みは吏生さんにマンションに帰ってきてほしいと言われ、電車で帰っている。
駅からマンションまで15分くらいだけど、この猛暑に歩くのは嫌でタクシーに乗っていくと言ったのに吏生さんは迎えに行くときかない。
電車が着く時間をLINEすると、ロータリーで待ってると返事が来た。
30分くらい電車に揺られ、目的地についてホームに出ると真夏の空気がベタベタする。
駅を出てロータリーに目を向けると、車が何台か止まっていた。
確か黒のセダンって言っていた気がする…
とりあえずロータリーに向かっていると、2人の男の人に道を塞がれてしまった。
「お姉さんひとり?今からカラオケ行くんだけど一緒に行かない?」
「いえ、彼氏が迎えに……」
「今いないじゃん。ちょっとだからさ」
相手にしちゃいけない…
無視してロータリーの方に行こうと足を進めると強い力で腕を掴まれた。
「離してっ…」
「いいじゃん、ちょっとくらい。楽しいことしよ?」
思いっきり腕を引っ張っても男の人の力になんて適うはずもない。
最悪……
どうしたら…
片方の手を掴まれているからバッグからスマホを出すことすらできない。