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第169章 大通公園

由美の友達だった京子さんの話では、二年前に結婚したと聞いている。
勿論、式に招待等はされなかったが幸せになってほしいと願っていた。

つくづく、「ヴァーチャル」のままで別れて良かったと思う。
自分の妻への想いもあるが、彼女が無垢な身体のままで伴侶を得たことが大切なのだ。

由美を想い出さないことなど、一日とて無い。
彼女とのメールのやり取りはワードデータに置き換えて、保存してある。

一本の小説として成り立つほどに。
「人生最初で最後の浮気」の記録を、後ろめたさを感じながらも日々、読み返しながら楽しんでいた。

会えないでも寂しくは無いと言えば、嘘になるが・・・。

そんなむず痒い想いを噛みしめながら、公園の端を横切る大通りに辿りついた。
ここを左折すれば、札幌駅に着く。

すると、啓介は両目を大きくして正面の信号脇で話している二人を見つめた。

通りの向こう岸に、彼女がいた。
ベビーカーを押している。