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「ヴァーチャル奴隷」契約(文字だけでイカせてくれますか?)
第169章 大通公園
まぎれもなく、由美であった。
髪をショートカットにしているが、若々しさを失わない美しい顔は間違えようもなかった。

三年間、毎日のように写真を眺めていたのだから。
「広なんとか」という女優さんに似ている。

彼女も啓介の姿に気づいたのか、片手を口元に当てた。
脇に立つ背の高い男性、多分、旦那様だろうか、に向けて何かを話している。

やがて、信号が青になると、手を振りながら笑顔で近づいてくる。
啓介は信号を渡らずに人ごみを避けるように、公園の入口までゆっくり後ずさりした。

「坂口さんっ・・・」
透き通る声は、あの頃のままだ。

「ひ、東出さんっ・・・」
啓介は顔を引きつりながらも、何とか声を絞り出した。

ずっと会いたいと願っていたのに、いざ、目の前にすると言葉が出なかった。
メールやシナリオの文章だと、機関銃のように綴ることができるのに。

「お久しぶりですっ・・・」
由美は自然な仕草で、明るい声で深々とお辞儀をした。

「しんちゃん、さっきも言ったけど、前の会社でお世話になった坂口さん・・・」
見上げるように声を出す表情が幸せそうで、啓介は嬉しかった。

「坂口さん・・・・うちの、旦那様です・・・
 フフッ・・・」

いたずらな目も、あの頃のままだと思った。
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