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ウンディーネの泉
第6章 長内家
ドキドキしながらスマホを手に取る。
全く便利な世の中になったものだ。
電話さえ繋がれば待ち合わせのすれ違いなんかおきない。
さして時間を掛けずに手を振り合図を送る小柄な女性を見つけれた。
助手席はミユの指定席なので三穂には後部座席に回ってもらう。
「お疲れ様。」
小柄な身体に童顔。それがビシッとしたパンツスーツを着ているので下手をすると七五三だ。
これで俺と同い年なんだから神様って奴はなに考えてるのか判らない。
「ごめんね。車ださせちゃって。晩御飯は期待してもらっていいよ。」
お大尽宣言に助手席から拍手がおこる。
「さかなの美味しい良いお店があるのよ。」
魚介類か。独り暮らしだとあまり手を出さないジャンルだ。これは楽しみだ。
三穂の案内通りに車を走らせお店の駐車場に入る。
え?
ここ?
「なぁ。魚の美味しい店って言ったよな?」
「そうよ。肴の美味しい店。」
だ、騙された。
赤提灯だ。
居酒屋だ。
三穂は兎も角ミユも馴れた様子で暖簾を潜る。
慌てて後を追うと
「らっしゃい!」
威勢の良い声に迎えられ奥のテーブル席に通される。
母娘が並んで座り向かいに俺という配置。
出来ればミユと並びたかったが流石にそうはいかない。
「いらっしゃい。三穂ちゃん久しぶり。ミユちゃんもこんばんわ。」
注文を取りに来た店員の様子だと母娘揃っての常連らしい。
「取り敢えず、ビールピッチャーで。」
「私オレンジジュース。」
「・・・烏龍茶。」
「え~っ!居酒屋で酒呑まないなんて邪道だよ!」
やかましい。
俺はドライバーだし酔っ払い二人の面倒を小学生に看させる気か?
兎に角アルコールは固辞する。
食べ物は母娘が次々頼むが太鼓判を押すだけあってどれも旨い。
今度一人で呑みに来よう。
普段からこうなのか三穂のピッチが早い。
あっという間にピッチャーが二杯目になっている。
酔いが回ってきたのか亭主との馴れ初め惚気話が延々と続く。
そして最後には長期の海外単身赴任で会えなくて寂しいと泣き出す始末。
泣きたいのはこっちだよ。
ミユが居なければこのまま置いて帰るところだ。
「カズ兄ちゃん、ごめんね。ママ呑むといっつもこうなの。」
まったく。子供に謝らせるなよな。
全く便利な世の中になったものだ。
電話さえ繋がれば待ち合わせのすれ違いなんかおきない。
さして時間を掛けずに手を振り合図を送る小柄な女性を見つけれた。
助手席はミユの指定席なので三穂には後部座席に回ってもらう。
「お疲れ様。」
小柄な身体に童顔。それがビシッとしたパンツスーツを着ているので下手をすると七五三だ。
これで俺と同い年なんだから神様って奴はなに考えてるのか判らない。
「ごめんね。車ださせちゃって。晩御飯は期待してもらっていいよ。」
お大尽宣言に助手席から拍手がおこる。
「さかなの美味しい良いお店があるのよ。」
魚介類か。独り暮らしだとあまり手を出さないジャンルだ。これは楽しみだ。
三穂の案内通りに車を走らせお店の駐車場に入る。
え?
ここ?
「なぁ。魚の美味しい店って言ったよな?」
「そうよ。肴の美味しい店。」
だ、騙された。
赤提灯だ。
居酒屋だ。
三穂は兎も角ミユも馴れた様子で暖簾を潜る。
慌てて後を追うと
「らっしゃい!」
威勢の良い声に迎えられ奥のテーブル席に通される。
母娘が並んで座り向かいに俺という配置。
出来ればミユと並びたかったが流石にそうはいかない。
「いらっしゃい。三穂ちゃん久しぶり。ミユちゃんもこんばんわ。」
注文を取りに来た店員の様子だと母娘揃っての常連らしい。
「取り敢えず、ビールピッチャーで。」
「私オレンジジュース。」
「・・・烏龍茶。」
「え~っ!居酒屋で酒呑まないなんて邪道だよ!」
やかましい。
俺はドライバーだし酔っ払い二人の面倒を小学生に看させる気か?
兎に角アルコールは固辞する。
食べ物は母娘が次々頼むが太鼓判を押すだけあってどれも旨い。
今度一人で呑みに来よう。
普段からこうなのか三穂のピッチが早い。
あっという間にピッチャーが二杯目になっている。
酔いが回ってきたのか亭主との馴れ初め惚気話が延々と続く。
そして最後には長期の海外単身赴任で会えなくて寂しいと泣き出す始末。
泣きたいのはこっちだよ。
ミユが居なければこのまま置いて帰るところだ。
「カズ兄ちゃん、ごめんね。ママ呑むといっつもこうなの。」
まったく。子供に謝らせるなよな。