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熱帯夜に溺れる
第5章 沈殿する夏、静止する冬
 慌てた様子の莉子が、開いた扉から顔を覗かせた。

「どうしたの? こんな夜に……」

 彼女が言い終わらないうちに扉の隙間から部屋に押し入った。驚く莉子の顎を掴み上げ、無理やり上を向かせた彼女の紅色の唇に口付けた。

 いつもは唇と唇を擦り合わせた軽めのスキンシップを楽しんだ後に徐々に互いの繋がりを深くしていくが、今日のキスは最初から深い。軽めのキスを楽しむ余裕が今の純には皆無だった。

 莉子の口内に差し込んだ舌先が彼女のそれを求めて暴れ回る。戸惑う莉子を舌先で捕まえて、逃さない。
 莉子の唇は歯磨き粉の味がした。純の来訪は寝る前の歯磨きの直後だったようだ。

 由貴とのキスを忘れるために、莉子の唇を無我夢中で貪った。キスの最中に漏らされた莉子の苦しげな吐息も次第に甘く変化する。
 単身者用の狭い玄関で抱き合う男女は、そのまま部屋にもつれ込んだ。

 ベッドに押し倒した莉子の部屋着を脱がそうとする純を、珍しく莉子が制した。

「あっ、あの、今日はちょっとダメ。その……」
「生理?」
「じゃなくて……。パンツ……可愛いやつじゃないし、古いパンツだから毛玉が沢山ついてるの。見られるのは恥ずかしい」

 ゴニョゴニョと今夜が万全な下着ではないことを恥じる莉子が愛らしい。男にしてみればそんなことで終わる話だが、女にとっては情事に挑む時の下着の選別は重要事項らしい。

 純は「そんなこと……」と言いかけて口をつぐむ。言い方を考えなければ莉子の機嫌を損ねてしまう。

 莉子より16歳も年上であることで生じる大人としての矜持《きょうじ》と男の煩悩の狭間で彼は悩んだ。
 本当は大人でもなんでもない。歳だけを重ねただけのただの雄だ。早く莉子を抱きたい、頭にはそれしかない。

 莉子の耳たぶを甘噛みすると華奢な肩がピクッと跳ねた。そのまま唇を首筋に滑らせつつ、弱々しい抵抗を見せる莉子の両手をベッドに縫い止める。

「莉子のパンツが毛玉だらけだろうと、幻滅したりしないよ」
「本当? がっかりしない?」
「しない。毛玉ができた古いパンツを履いてる莉子は、物を大切にする子だなって思う」
「それは過大評価が過ぎるよぅ。白状すると古いパンツはゴムが緩くなるから履いていて楽なだけなんです……」

 くすっと笑った莉子が可愛くてたまらない。
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